2025/06/27
Jardin silencieux, souvenir d’un ravin
渓谷に似た庭、静寂の記憶
thème:記憶の奥にある風景
扉の奥、階段をのぼり、ふと視線を落とすと現れる庭がある。
花はない。音もない。
けれど、すべてがそこに“ある”。
「大仙院の庭が好きで」と、
あの石庭の、削ぎ落とされた余白。
水のない渓谷のように、気配だけが深く沈んでいく場所。
ここに流れているのも、似た静けさ。
苔の色。石の並び。葉の揺れ。
それらが、ひとつの「風景」として調和している。
それは飾るための庭ではなく、
“感じる”ためにある庭。
誰かと過ごしていても、ひとりで座っていても、
この庭は、同じように呼吸してくれる。
時間の輪郭がにじみ、
記憶の奥にあった景色が、少しずつ浮かびあがる。
——
ここには、言葉を忘れるための静けさがある。
それを、ただ味わう場所としての、庭。